[PR]
2025年03月05日
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ノンフィクション売り上げランキング 2011/01/30(日) 09:50:37 更新
2011年01月30日
- 金の星社
- 価格:¥ 1,365
- 発売日:2009-07
- 通常1~4週間以内に発送
9位 一勝九敗 (新潮文庫)
- 新潮社
- 価格:¥ 460
- 発売日:2006-03
- 在庫あり。
フリースの爆発的な人気によりその名を全国区に押し上げた「ユニクロ」。このブランドを展開する株式会社ファーストリテイリングの創業者である柳井正が、創業より現在までの歩みをつづった。 マスコミに持ち上げられたり、ブームが去ったあとには一変して叩かれたりした同社に対し、紆余曲折が激しいイメージを持っている人も多いはずだ。確かに本書を読むと、同社には数々の失敗や停滞期があったことがうかがえる。しかし同社の特徴は、失敗を恐れない姿勢にある。失敗から学習し、すばやく方向転換をしていくその経営姿勢は、失敗をそのまま放置したあげく、倒産にいたる大企業とは根本的に異なっている。 成功に関する考え方もユニークだ。「成功するということは、保守的になるということだ。商売というのは、現状があまりうまくいかないときに、『だったら、どうやればうまくいくのか』ということを徹底的に考えるということであり、成功したと思った時点でダメになるのだ」という言葉は、現在も海外進出や新規事業に果敢に取り組んでいる同社の本質をうまく言い表している。 本書には、地方の証券取引所に上場、東証二部上場、そして東証一部上場と会社の状況が変わっていくにつれて、経営の視点を柔軟に変えていった過程も克明に描かれている。会社規模の変化に合わせて社員に求めるスキルや目標が異なっていくのは当然のように思われるが、案外、変化を苦手とする経営者も多いのではないだろうか。机上の経営論ではなく、経営者による生きた事例を参考にしたいビジネスマンや起業家に一読をすすめたい。理路整然とした言い切り型の簡潔な文章であるため、非常に読みやすくまとまっている。(朝倉真弓)
11位 小倉昌男 経営学
- 日経BP社
- 価格:¥ 1,470
- 発売日:1999-10
- 在庫あり。
「儲からない」といわれた個人宅配の市場を切り開き、「宅急便」によって人々の生活の常識を変えた男、小倉昌男。本書は、ヤマト運輸の元社長である小倉が書き下ろした、経営のケーススタディーである。 全体を通して読み取れるのは、「学習する経営者」小倉の謙虚さと、そこからは想像もできないほど強い決断力である。成功した人物にありがちな自慢話ではない。何から発想のヒントを得たか、誰からもらったアイデアか、などがこと細かに記されている。講演会やセミナー、書籍、マンハッタンで見た光景、海外の業者に聞いた話、クロネコマークの由来…。豊富なエピソードから伝わってくるのは、まさに学習し続ける男の偉大さである。 一方で、並々ならぬ決断力を持っていたのだと思わせる記述がいくつかある。宅急便に注力するため、大口の取引先であった松下電器との長期にわたる取引関係を終結させたこと、三越岡田社長のやり方に反発し、「とてもパートナーとして一緒に仕事をしていくことはできなかった」として取引関係を解消したこと、運輸省を相手に訴訟を起こしたこと…。いずれも確固たる論理がその根底にあった。それにしても見事な決断力と言わざるを得ない。 終わりの部分で紹介されている宅急便の各種サービス内容や、有名なNEKOシステムなどの話は、流通・物流の関係者以外には興味がわかないかもしれないが、全体的に読みやすく、興味深いエピソードが満載なので、読んでいて飽きることがない。経営者としての小倉の人となりが伝わる、好感の持てる1冊である。(土井英司)
13位 夜と霧 新版
- みすず書房
- 価格:¥ 1,575
- 発売日:2002-11-06
- 在庫あり。
名著の新訳には、つねに大きな期待と幾分かの不安がつきまとう。訳者や版元の重圧も察するにあまりあるが、その緊張感と真摯さのためか、多くの場合成功を収めているように思われる。本書もまた、その列に加わるものであろう。 ユダヤ人精神分析学者がみずからのナチス強制収容所体験をつづった本書は、わが国でも1956年の初版以来、すでに古典として読みつがれている。著者は悪名高いアウシュビッツとその支所に収容されるが、想像も及ばぬ苛酷な環境を生き抜き、ついに解放される。家族は収容所で命を落とし、たった1人残されての生還だったという。 このような経験は、残念ながらあの時代と地域ではけっして珍しいものではない。収容所の体験記も、大戦後には数多く発表されている。その中にあって、なぜ本書が半世紀以上を経て、なお生命を保っているのだろうか。今回はじめて手にした読者は、深い詠嘆とともにその理由を感得するはずである。 著者は学者らしい観察眼で、極限におかれた人々の心理状態を分析する。なぜ監督官たちは人間を虫けらのように扱って平気でいられるのか、被収容者たちはどうやって精神の平衡を保ち、または崩壊させてゆくのか。こうした問いを突きつめてゆくうち、著者の思索は人間存在そのものにまで及ぶ。というよりも、むしろ人間を解き明かすために収容所という舞台を借りているとさえ思えるほど、その洞察は深遠にして哲学的である。「生きることからなにを期待するかではなく、……生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題」というような忘れがたい一節が、新しくみずみずしい日本語となって、随所に光をおびている。本書の読後感は一手記のそれではなく、すぐれた文学や哲学書のものであろう。 今回の底本には、旧版に比べてさまざまな変更点や相違が見られるという。それには1人の哲学者と彼を取り巻く世界の変化が反映されている。一度、双方を読み比べてみることをすすめたい。それだけの価値ある書物である。 (大滝浩太郎)
PR