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2024年11月24日
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歴史・地理売り上げランキング 2008/10/07(火) 09:50:22 更新
2008年10月07日
- 角川書店
- 価格:¥ 2,310
- レビュー:
- 発売日:2001-06
- 通常24時間以内に発送
母からもらった5ドルを手に家出同然でボストンを目指した14歳の少年が、徒手空拳からやがて巨万の富を築き上げる――。本書は「伝説の投機王」「ウォール街のグレート・ベア」などと称された相場師、ジェシー・リバモアがたどった破天荒な生涯を再現したものである。 この物語をおもしろくしているのは、リバモアが市場で大胆な勝負をしかけ、巨額の利益を上げていくシーンの数々である。著者はその緊迫した投機的株取引の世界を見事に描きだしている。象徴的なのは、1929年の世界恐慌でのこと。主力銘柄の株価に「過熱し過ぎ」のサインを見たリバモアは、市場トレンドの変化を確信し、一気に「空売り」を開始する。経済環境は順風満帆、相場は強気一辺倒のなかでである。ひとり流れに逆行するリバモアは、周囲から狂気の沙汰とさえ受け止められる。が、やがてブラックマンデーが到来。大暴落した市場で株を買い戻したリバモアは、1億ドル以上の利益を得る。 著者はリバモアを描くなかで、なぜこのような読みが可能だったのかに迫っている。クローズアップしたのは、リバモアの相場変動の数字から規則性を見抜く抜群の観察力や計数能力、あるいは寡黙さ、孤高、秘密主義といったスタイルである。また、売買のタイミングを原則化した「ピボタル・ポイント理論」や資金管理の法則など、リバモアが独自に築いた投資理論にも光を当てている。 一方、そんなリバモアも幾度となく相場を読み誤り、何度も破産に陥っている。晩年は頭のさえも極度に衰え、最後はピストル自殺で人生を終えている。このひとりの相場師の物語は、相場で生きることの意味と、そこで成功するために何が必要かを告げている。著者はそれを、自分の中にわき起こる貪欲さや恐怖とどう闘い、冷静さや合理的判断をいかに保つかという点に収斂(しゅうれん)させている。トレーダーに限らず、ビジネスのあらゆる分野のリーダーに求められる資質が、ここに記されている。(棚上 勉)
16位 坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)
- 文藝春秋
- 価格:¥ 670
- レビュー:
- 発売日:1999-01
- 通常24時間以内に発送
同じ松山で生まれ育った正岡子規と、日露戦争で活躍した秋山兄弟。子規は病と闘いながら俳諧の革新に挑み、秋山兄弟はそれぞれ日本の騎兵、海軍の技術向上に尽力した。当時最強とうたわれたロシアのコサック騎兵を打ち破るべく、ひたすら仕事に打ち込む兄好古と、文学の世界に未練を残しながらも海軍に入隊し、海軍戦術を研究し続けた弟真之。2人のまじめな努力の成果は、歴史が証明している。誰もが立身出世を目指した時代に、彼らがどうやって自分の人生の意義を見出したのか。そんな視点から読んでみるのもおもしろい。 司馬遼太郎の大河小説の中でも、本書は特に評価が高く、ビジネスパーソンをはじめ、多くの人々に読まれている。改革の時代にこそひも解きたい、そんな1冊である。(土井英司)
- 岩波書店
- 価格:¥ 1,155
- レビュー:
- 発売日:2000-01
- 通常24時間以内に発送
R.P.ファインマンは1965年にJ.S.シュウィンガー、朝永振一郎とともにノーベル物理学賞を授賞した天才的な物理学者である。こう書くと「理数系が苦手」な人は逃げ出したくなるかもしれないが、そんな人にこそ本書を手にとっていただきたい。 本書は20世紀を代表する天才物理学者の自伝ではない。R.P.ファインマンという人生を楽しむ天才から我々への贈りものである。
「ファインマンと聞いたとたんに思い出してもらいたいのは、ノーベル賞をもらったことでもなければ、理論物理学者であったことでもなく、ボンゴドラムでもマンハッタン計画でもない。僕が好奇心でいっぱいの人間であったということ、それだけだ」といつも言っていた(下巻訳者あとがきより)。 「なぜだろう?」といつも好奇心いっぱいの子どものように世界を見て、いったん好奇心をひかれたらそれに夢中になり納得のいくまで追求する。彼は一切の虚飾と権威を嫌い、相手がそれをかさに着ているとみるや容赦しなかった。それは、そのような態度が、楽しいはずの真実の探求を邪魔する厄介なものだったからである。 上巻では、彼の少年時代、物理学者としての修行時代、また駆け出しの物理学者として携わったマンハッタン計画から終戦を迎えるころまでのエピソードが収録されている。どの時代においても彼はその状況を最大限楽しみ、そして、決して流儀を変えなかった。
自分が理系か文系かなんて関係ない。もし少しでも本書に「好奇心」を持ったなら、ぜひ一読をおすすめする。(別役 匝)
「ファインマンと聞いたとたんに思い出してもらいたいのは、ノーベル賞をもらったことでもなければ、理論物理学者であったことでもなく、ボンゴドラムでもマンハッタン計画でもない。僕が好奇心でいっぱいの人間であったということ、それだけだ」といつも言っていた(下巻訳者あとがきより)。 「なぜだろう?」といつも好奇心いっぱいの子どものように世界を見て、いったん好奇心をひかれたらそれに夢中になり納得のいくまで追求する。彼は一切の虚飾と権威を嫌い、相手がそれをかさに着ているとみるや容赦しなかった。それは、そのような態度が、楽しいはずの真実の探求を邪魔する厄介なものだったからである。 上巻では、彼の少年時代、物理学者としての修行時代、また駆け出しの物理学者として携わったマンハッタン計画から終戦を迎えるころまでのエピソードが収録されている。どの時代においても彼はその状況を最大限楽しみ、そして、決して流儀を変えなかった。
自分が理系か文系かなんて関係ない。もし少しでも本書に「好奇心」を持ったなら、ぜひ一読をおすすめする。(別役 匝)
20位 夜と霧 新版
- みすず書房
- 価格:¥ 1,575
- レビュー:
- 発売日:2002-11-06
- 通常24時間以内に発送
名著の新訳には、つねに大きな期待と幾分かの不安がつきまとう。訳者や版元の重圧も察するにあまりあるが、その緊張感と真摯さのためか、多くの場合成功を収めているように思われる。本書もまた、その列に加わるものであろう。 ユダヤ人精神分析学者がみずからのナチス強制収容所体験をつづった本書は、わが国でも1956年の初版以来、すでに古典として読みつがれている。著者は悪名高いアウシュビッツとその支所に収容されるが、想像も及ばぬ苛酷な環境を生き抜き、ついに解放される。家族は収容所で命を落とし、たった1人残されての生還だったという。 このような経験は、残念ながらあの時代と地域ではけっして珍しいものではない。収容所の体験記も、大戦後には数多く発表されている。その中にあって、なぜ本書が半世紀以上を経て、なお生命を保っているのだろうか。今回はじめて手にした読者は、深い詠嘆とともにその理由を感得するはずである。 著者は学者らしい観察眼で、極限におかれた人々の心理状態を分析する。なぜ監督官たちは人間を虫けらのように扱って平気でいられるのか、被収容者たちはどうやって精神の平衡を保ち、または崩壊させてゆくのか。こうした問いを突きつめてゆくうち、著者の思索は人間存在そのものにまで及ぶ。というよりも、むしろ人間を解き明かすために収容所という舞台を借りているとさえ思えるほど、その洞察は深遠にして哲学的である。「生きることからなにを期待するかではなく、……生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題」というような忘れがたい一節が、新しくみずみずしい日本語となって、随所に光をおびている。本書の読後感は一手記のそれではなく、すぐれた文学や哲学書のものであろう。 今回の底本には、旧版に比べてさまざまな変更点や相違が見られるという。それには1人の哲学者と彼を取り巻く世界の変化が反映されている。一度、双方を読み比べてみることをすすめたい。それだけの価値ある書物である。 (大滝浩太郎)
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